世の中には話の上手い人、下手な人といますが、噺家ほど上手な人はいないのではないでしょうか。
中でも落語はその人の人生観や社会観などを表している事があり、洒落を利かせた粋な表現は聞く人の心を惹き付けてしまいます。
特に現代落語に拘った立川談志師匠の噺は、豪放磊落な印象の中にも哲学的な部分もあり、人々に勇気を与えてくれるメッセージが多いです。
今回は、立川談志の名言集が心に響く~勇気が出るメッセージ~の紹介になります。
立川談志とは?
立川談志は、1936年、松岡克由として東京で生まれ、立川流家元の7代目落語家(自称・5代目)として知られています。
16歳で高校を中退し柳家小さんに入門したあと、柳家小よしの名前で前座を務め、その後真打に昇進し立川談志を襲名することになります。
1966年には、テレビ番組「笑点」の発案、企画をして初代司会者を務め、奔放な毒舌ぶりで一躍人気者となりました。
また、参議院議員通常選挙に出馬し初当選したことでも知られており、自由民主党に入党したものの1期6年を務めたあと1975年に辞任します。
その後は、一門と共に落語協会を脱会し、落語立川流を創設して家元となります。
しかし、2011年の一門会で披露した「蜘蛛のかご」を最後の高座とし75歳でこの世を去っています。
その生き方は風雲児とも呼ばれ反逆児としての姿勢を貫き通した生き様でもあり、それだけに遺した言葉は私達に勇気をくれるメッセージが多くあります。
立川談志の名言①
酒が人間をダメにするんじゃない。
人間はもともとダメだと言う事を教えてくれるものだ。
立川談志さんは酒豪である事でも知られており、数々のエピソードもあります。
照和51年1月に沖縄開発庁政務次官として地元記者との会見に出席した際、酒の臭いをプンプンさせていた事から「あなたは公務と酒とどちらが大切なんですか?」と記者から糾弾された時、立川談志さんは「酒に決まってんだろう」と言った事が話題にもなりました。
通常では考えられない受け答えですが、立川談志さんらしいと言えばそれまでですね。
しかし、酒を飲んで酔うと言う事は緊張感も緩くなる為、素の自分が出やすいものです。
そんな事を考えると、立川談志師匠の放ったこの言葉は正当とも言えますよね。
立川語録・・・けっこう面白い方ですね。
立川談志の名言②
良い奴とは、自分に都合のいい奴である。
馬鹿とは、状況判断の出来ない奴の事を言う。
この言葉は、個人的にも納得がいきます。
確かに、ただ良い人って結局は自分に都合のいい人であって、自分本位にもとれます。
こんな人がいざ自分の思い通りに物事が進まなくなると豹変するか、陰で愚痴ぐちする人が多いものです。
また、冗談でバカと罵ったりすることはありますが、本当の意味でのバカはやはり空気がよめない人で、他人の事を考える余裕のない人だと思いますよね。
談志師匠は、時代の最先端を歩いてきたとも言えますね。
立川談志の名言③
天狗になるくらいでなきゃあ、駄目じゃないかと思ったね。
青臭いかもしれないけど天狗になっているときの芸は威勢がいいんですよ。
遊びは芸の肥し・・・なんて言いますが、結局ノリノリの時って何をやっても成功するものです。
これは芸人に限らず、スポーツ社会でもなんでもそうですが、ノッテル人は機敏な動きもできますし、声も自然と大きくなります。
また、自信に満ちている事も多いです。
その為、ノッテル人について行けば間違いなし的な部分は確かにありますよね。
立川談志の名言④
型ができていない者が芝居をすると、型なしになる。
メチャクチャだ!
型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば、型破りになる。
どうだ、わかるか?難し過ぎるか?
結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ!
談志師匠の得意ネタは芝浜や黄金餅、らくだ、源平盛衰記などがあり、また現代落語論などのようなものも著し、落語家や研究者にも大きな影響を与えたと言われています。
談志師匠のイメージが奔放で毒舌ばかりをふく人と思っていただけに、このような哲学的思考の持ち主である事には驚きましたね。
自由奔放に落語を語り、本題から離れて社会批判や人生論などから話し始める談志師匠の噺は大胆であり繊細でもあり、哲学でもありますよね。
しかも、切れの良い洒落もきかせるので引き込まれてしまいます。
これも全ては稽古を真面目にしてきたからと言えるのでしょうね。
立川談志の名言⑤
己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行動。
これを嫉妬と言うんです。
一緒になって同意してくれる仲間がいればさらに自分は安定する。
本来なら相手に学び、抜くための行動、生活をおくれば、それで解決するんだ。
しかし、人間はなかなかそれができない。
嫉妬している方が楽だからな。
芸人なんぞそうゆう輩の固まりみたいなもんだ。
だが、そんな事で状況は何も変わらない。
よく覚えておけ。現実は正解なんだ。
時代が悪いのか、世の中がおかしいと言ったところで仕方ない。現実は事実だ!
そして現状を理解・分析してみろ。
そこにはきっと何故そうなったかと言う原因があるんだ。
現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。
その行動を起こせなない奴を俺の基準で馬鹿と言う。
これはまさに哲学的思考と言うか、どんな物事にも必ず原因はあり、何らかの行動を起こす事で解決に繋がると言う事を語っているのでしょうね。
何も出来ない人が、談志流の馬鹿と言う事になるのですね。
とても勇気を貰える言葉ですが、全ての人が行動を起こせる人ばかりではない事は確かです。
こんな人は終始馬鹿として生きなさいと言う事なのでしょうか?
2011年に喉頭がんで亡くなってしまった談志師匠が、もし現在も生きていたとしたら、こんな事を聞いたかもしれません。
でもきっとこんな答えが返ってきたかもしれませんね。
「馬鹿は馬鹿なりに面白れぇかもな」とね。
まとめ
今現在もテレビ放送されている「笑点」の初代司会者を務めたのが立川談志師匠だった事には驚いてしまいましたね。
奔放な毒舌ぶりを思うとどんな番組だったのだろうととても興味津々です。
しかし、自由に毒舌ばかり吹いているイメージとはかけ離れ、実際は稽古をしっかり行い、真面目で哲学的思考の持ち主だった事にも驚きました。
豪快で面白い噺家だっただけにもっと沢山の噺を聞きたかったのでもっと長生きしてほしかったと思います。
とても残念でなりません。
以上、立川談志の名言集が心に響く~勇気の出るメッセージ~でした。
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