独裁者といえば誰の名前があがってくるでしょうか。
ヒトラーかスターリンか、もしくは現在の某国の名がでるか……といったところでしょうか。
歴史的にみれば、ヒトラーの方が独裁色が強く、そして残虐である印象が強いと思いますが、どうやらスターリンの方がより独裁的で残虐だったようです。
死者の数でいえばヒトラーよりも多くの命を奪っていたようです。
では、スターリンはどのようにして独裁的であり残虐的な人物となったのでしょうか。
スターリンとは?
スターリンは1878年生まれ1953年74歳没です。
スターリンとは「鋼鉄の人」を意味するペンネームであり、本姓はジュガシヴィリといいます。
ソビエト連邦の政治家であるとともに軍人でもありましたが、軍隊などに所属する職業軍人ではありませんでした。
靴職人をしている父を持ち、幼少期はとても貧しい暮らしをしていました。
彼にはふたりの兄がいましたが、共に幼い頃に亡くしています。
その後、神学校に進みますが優秀でありながらも神学に対する疑念を抱き、授業料が払えないことを理由に退学をしてしまいます。
そこから革命家へと転身し政治家への道を歩むことになります。
革命家時代は逮捕や流刑などを経験、ロシア革命が起き流刑が解かれます。
次第に権力を手にしていくスターリンは粛清を行うようになります。
恐怖で人を支配する独裁が始まったのです。
1937年から1939年の間に1200万人が逮捕されたという報告もあります。スパイ容疑がかかれば盗聴され、疑わしきは罰せよと粛清をしたこともあるようです。
そんなスターリンも歳には敵いませんでした。
歳を追うごとにボケが進んだとのことです。
しかし死因は脳出血であったという説があります。
スターリンの名言①
「愛とか友情などというものはすぐに壊れるが恐怖は長続きする」
「Любовь или дружба скоро сломается, но страх будет длиться.」
すぐ壊れる、どのラインで壊れたと感じるかは個人差がありそうなのでその辺りは触れないでおきます。
しかし恐怖は長続きするにはまったくその通りです。
たとえ恐怖政治が終わっても、その頃に受けた恐怖は根強く残っているものです。
人を支配するには恐怖を与えるという方法は、今もなお行われているので本当に有効なのでしょう。
スターリンの名言②
「人は自分で神を作り出し、それに隷属する」
「Человек творит Бога сам, и он в рабстве.」
スターリンの母は息子が正教会の神学校に推薦されたことをとても喜び、そしてスターリン本人もかなり優等生だったようです。
しかしその過程の中で神に対し疑念を抱くようになったとのこと。
神の存在を信じることを強要することはいけないことですが、また逆にいないと思っていることを強要することもしてはならないことと思います。
筆者としては信じることで自身が救われるのであれば信じればよいし、存在が信じられないカルトだと思うならそれでいいではないでしょうか。
あきらかにカルトであれば説得も必要かと思いますが、信仰心は誰の支配も受けてはならないものです。
スターリンの名言③
「一人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計上の数字でしかない」
「Смерть одного человека является трагедией, но миллионы человеческих смертей являются лишь статистическими данными.」
極端ではありますが、確かにと頷けてしまえるところもあります。
ひとりの人間の死は悲劇、これは身近であればその悲しみも深くなります。
数百万人の死者に抱く感情はどうでしょうか。
統計上というのは極端ですが、百万人ひとりひとりに悲劇のような悲しみを抱けるとなるとそれは現実問題できないと思います。
しかし誰かの大切な人が亡くなっているのは事実で、悼む気持ちは持てると思うのです。
数字でしかないと言い切れるところにスターリンの人としての何かが欠けているのが伺える、そんな言葉に思えました。
スターリンの名言④
「死が全てを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」
「Смерть решает все. Если нет человека, то нет никаких проблем.」
人間が存在しなければ問題も存在しない、確かに!
この地球上で意図的に問題を起こしているのは人間であることは明白です。
しかし神は人はもともと罪人であると仰っています。
人は罪を犯しながらこの世に生まれている……
仏教の教えでも類似したことを仰っていたような記憶があります。
罪人であるからこそ、そうならない道を進もうと努力をするのが人生であると思うのです。
自分に都合の良い政治をしたいから余計な人を粛清していくは違うと思います。
神学校で学んで出た答えがこれでは、あまりにも悲しいです。
スターリンの名言⑤
「現実と理論が一致しなければ現実を変えよ」
「Если реальность и теория не совпадают, превратите реальность.」
これこそ独裁的思考の原点ですよね。
理論、つまり自分の理想が第一であり、それを阻む現実などいらない。
とても簡単なことだけど、簡単だからこそやってはいけないことだと思います。
人がふたりいれば意見は違ってきます。
たとえ賛同者がいたとしても、自分とまったく同じ考えにはなりません。
人には個々に個性があり性格や思考も異なります。
だから議論を重ね、妥協できるところ、それぞれが納得できる着地点を模索していくのです。
そもそも政治はひとりではできませんよね。
国造り、国の統制などもひとりでは無理です。
理解を求めようとせず恐怖の支配を選択してしまったスターリンがいいそうな言葉であると納得です。
まとめ
スターリンの独裁政治を手本としている人がいるとも言われているほど、今の時代でも多大な影響力を持つスターリン。
彼の言っていることは「確かに」と頷けるところもあるのですが、それを選択して実行してはダメな発言ばかりであったと思います。
幼少期、彼は実父から虐待を受けていたという話もあります。
今の時代でも、虐待経験のある子はその子供にもしてしまう可能性があると危惧する傾向が少なからずあるとも聞きます。
幼少期のそういう経験が彼を独裁者に育ててしまったというのであれば、幼少期の教育の在り方、親の在り方を考え直さないといけないのかもしれません。
しかし、同じ境遇の子が必ずしも親と同じことをしてしまうとは限りません。
だとするなら、スターリンの人格の歯車はどこで狂ってしまったのでしょう。
その辺りは彼の生い立ちを読み返しても答えを見つけることはできませんでした。