北里柴三郎という人物をご存知でしょうか。
名前を言われてもピンとこない人の方がほとんどでしょう。
しかし、名前は知らなくても病名を聞けば聞いたことがあるという人がほとんどだと思います。
ペスト菌を発見した医学者、または細菌学者といえばなんとなくわかる人もいるかもしれませんね。
では、破傷風といえばどうでしょうか。
この病名、どんな病気か説明できなくても聞いたことがある人がほとんどだと思います。
北里柴三郎さんは、この破傷風の治療法開発に貢献した方なのです。
破傷風になると大人でも死亡率が50パーセントと高い確率で完治が望めない感性病でした。
それほどまでに貢献した北里柴三郎さんとはいったいどんな方だったのでしょうか。
北里柴三郎とはどんな人物?
1853年生まれ1931年没の医学・細菌学者です。
現在の東京大学医科学研究所の創設者でもあります。
日本の細菌学の父とも言われ、第一回ノーベル生理学医学賞の最終候補15人に選ばれた一人でもありました。
留学先のドイツから帰国すると、狂犬病やインフルエンザなどの血清開発にも取り組みはじめます。
今の時代も秋から春先にかけて悩まされるインフルエンザ、それの治療方法や予防方法があるのは、北里柴三郎さんのおかげなのですね。
日本医師会を創立したり、慶應義塾大学医学部の創立に尽力したりと、医学の研究や医学にかかわる人員の育成などに大変貢献した方なのです。
野口英世さんと並び、日本の医学発展ではかなり有名おふたりとのことですが、一般的には野口英世さんの方が知名度が高いです。
しかし、北里柴三郎さんがペスト菌を発見したことにより、野口英世さんはペスト菌に感染した患者を発見することができ、感染が広がっていくのを止めることができています。
この件に関し、お礼状を出しているという話もあるようなので、北里柴三郎さんは自身が表に出るというよりは後の医学発展のために土台をつくり陰から支えた方なのではないでしょうか。
北里柴三郎の名言①
「医者の使命は病気を予防することにある」
現代の医学も、治療よりは予防することを推奨しています。
健康診断や普段の食生活など、できるだけ病気にならないよう普段から心掛けましょうと。
しかしどうしても普段の生活から予防を心掛けていても、どうにもならないことがあります。
そのための予防接種なのでしょう。
治療薬も大事ですが、感染しないよう予防するための知識を先に知り広めるのが医者の使命であるというのは、もっともだと思います。
それでは医者は儲からないという方もいるとは思いますが、普段の生活で予防することにより病院の待ち時間が減り、本当に切羽詰まった患者を優先、より丁寧に診察することができ、誤診なども減ることに繋がります。
医者が健康であってこそでもあるし、今の時代のように医者不足で……ということも回避されるのではないでしょうか。
今一度、この言葉は医者に限らず一般の人もよくかみしめることが必要なのではないでしょうか。
北里柴三郎の名言②
「研究だけをやっていたのではダメだ。それをどうやって世の中に役立てるかを考えよ」
医者になっても治療する方に進まず、研究の方に没頭する方もいます。
たしかに研究も大事ですが、それだけをしていればいいというわけにもいきません。
どうやって世の中に役立てるのかを考える……確かに、そこが重要です。
しかし、研究者がそう思ってもなかなかうまく世の中に浸透していかないのが現実です。
北里さんがご活躍されていた時代はどうだったのかはわかりませんが、今の時代ではなかなか認可が下りなかったり、成功例がない理由で実践しない医師もいるでしょう。
けれど、患者は藁にもすがりたい気持ちでいます。
当人同士が危険を理解し同意すればよいので? と素人感覚では思います。
今はネットなどで知られていない治療方法も知ることができる時代です。
どんな些細なことでも、患者のことを思うなら、発信していっていただきたいと願います。
北里柴三郎の名言③
「君、人に熱と誠があれば何事でも達成するよ」
これはひとりだけがそれをもっていても意味がない言葉に感じます。
同じ志を持った人が集まれば突き動かすことができる。
北里さんの周りには多くの協力者と理解者がいたように感じます。
福沢諭吉さんも北里さんの協力者、支援者のひとりでした。
しかし、誰も声をあげなければそういった協力者は得られませんよね。
まずは自身の思いを知ってもらう、また人に考えてもらえるような説得力あるアピール、話術てきなものも必要でしょう。
なんでも達成できるかは別にして、目的を同じにした仲間が集えばなにか達成できるような力が湧いてくることは間違いないでしょう。
北里柴三郎の名言④
「よく世の中が行き詰まったと云う人があるが、是は大いなる誤解である。世の中は決して行き詰まらぬ」
思い通りにことが進まないと、時代のせい、世の中のせいにするのは今の時代も同じだと思います。
たとえば、就職に失敗したのは、今の時代が不況だから……
たしかに不況では新たに雇い入れるゆとりはないでしょう。
しかし、求人はゼロでしょうか、否、そうではありません。
採用されている人もいるので、決して世の中のせいではないのです。
そこに、③の名言が活かされてきます。
なぜその会社を選んだのか、そこでなにをしたいのか、熱意を込め自分自身を売り込んだでしょうか。
③の名言を思い出し、もう一度トライしてみましょう。
きっと北里さんのおっしゃる通り、世の中は行き詰っていないことを身をもって体感できると思います。
北里柴三郎の名言⑤
「若し行き詰まったものがあるならば、これは熱と誠がないからである」
この名言は④に対しての北里さんなりの答えです。
実は③から⑤はひとつの言葉、流れがあるものです。
流して読むよりひとつひとつ噛みしめながら読むことで、この名言の深さがわかると思います。
自身のあとに続くだろう新しい人材育成にも貢献した北里さんらしい言葉です。
おそらく、北里さんご自身がその信念を持ち成功してきたからこそ、言える重さと温かさを感じます。
志を持った者を応援し背中を押してくれる、なんとも素晴らしいお言葉は、いつの世の時代にも必要な言葉なのではないでしょうか。
まとめ
医学は日々発展し、医者になっても学ぶことはたくさんあるという方もいれば、医者になれたのだから学ぶことはないとし、いつまでも古い治療法に固執する方もいます。
歴史を振り返れば、発見と進歩をし続けているからこそ今の医学があるので、本当なら医者になることがゴールではなく、医者になることがスタートに立てたことなのではないでしょうか。
そういう医者に巡り合えた患者は幸いかもしれません。
大小あるとは思いますが、人生の中で医者の世話になったことがないという人はいないと思います。
風邪であったりケガであったり、なにかしらお世話になっていますよね。
医者の良し悪しは素人にはわかりませんので、絶大的な信頼をしてしまいます。
個人的な意見になりますが、患者の話に黙って耳を傾けてくれる医者でないと、ちょっと信頼できないかな……というものがあります。
また患者の意思を尊重してくれる医者は信頼できます。
今はネットで評判も確認できる時代ですので、自分に合う病院、医者を選べることはよい時代になっているのかな、と思います。